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なぜPinarelloにしたのか、エアロロードではなく、DOGMAを選んだ理由

公開: 2025年8月30日

はじめに:DOGMAという選択

練習からレースまで、すべての場面で使える一台を探していた。
見た目の派手さやスペック競争ではなく、「乗ってどう感じるか」「走った後にどう残るか」を重視した結果、たどり着いたのがPinarello DOGMAだった。
この記事では、エアロロードではなくDOGMAを選んだ理由を、実際の使用感と目的に照らして紹介したい。

もともと使っていたもの

トライアスロンを本格的に始める前に買ったバイク。それがGiantのPropelだった。リムブレーキ時代のもので2017年に購入したもの。設計は2010年だ。

各方面のレビュー記事を読むとわかることだが当時はエアロ・剛性・重量すべてに優れていた。

確かに不便はなかった。

女子選手ではあるが同じバイクで、国体と日本選手権出場を選手も知り合いにいる(さすがに国体出場時に新型に乗り換えてはいた)。

私が出場した宮古島トライアスロンでは、送り風にのったり向かい風を割いて、ほかの選手とは明らかに違う加速をすることもできた。

ただ、自分には硬すぎた。パーツもハンドルステム、ホイールとカーボンに置き換えた。

それでも手に来る微振動、臀部に伝わる微振動。当時主戦場にしていたショートの出力では、ランにたどり着くまでには疲れていた

同年代の人ならわかるかもしれない。ニンテンドー64やPlayStationであったコントローラのバイブレーションが伝わってくるのだ。

山あり谷あり、あぜ道あり

トライアスロンや日々の練習では、ただの平坦巡航だけでは済まない。
上りでの軽さ、下りでの安定性、平坦での巡航効率、そして信号やUターンでのストップ&ゴー──すべての場面でバイクの特性が問われる。

一般的なエアロロードバイクでは、出足が少し鈍い。その瞬間LSDではあまり使いたくない足を使う。上りだっておっくうになる。軽量エアロロードは出てきたものの3社のエアロロードを試乗してそう感じた。

いくら日本とは言え、道があれているところは多い。硬すぎるとそれだけで嫌になる。

古いPropelのから数十万円かける買い替えの言い訳にはならなかった。

Pinalleroのバイク

一方でPinalleroというメーカのバイクづくりは、軽量でありながら剛性が高く、どのシチュエーションでも“走りの質”を損なわない。

さすが、軽量バイクとエアロロードバイクの作り分けをしないメーカなだけはある。
上りでは、ペダルに力を込めた瞬間にスッと前に出る軽快さがあり、下りではラインがぶれず、安心して攻められる安定感がある。
平坦では、低トルクでもしっかりと推進力に変わる“ダイレクト感”があり、脚を無駄に使わずに巡航できる。
そしてストップ&ゴーでは、再加速時のレスポンスが鋭く、剛性の高さが効いてくる。

見るカフェイン

ロードバイクは決戦装備であると同時に、所有物でもある。見た目が好みかどうか、所有欲を満たせるかどうか、これはモチベーションに影響しよう

どんなに目標に向かっていようと、毎日がやる気で満ち溢れているわけではない。気乗りしない日だってある。そんな日だってやる気を与えてくれる存在であってほしい。

UCIの既定の中で空力を追い求めていくとどうしても似てきてしまう、現在のロードバイク。その中でも有機的な曲線はDOGMAの唯一無二とも言えよう

最大の理由:乗り心地と振動吸収性

しかし、それだけではない

軽量さに優れたバイクならほかにたくさんある。GiantのTCRやCanyonのUltimate、TrekのEmondaやMadone Gen7は非常に軽く、空力にも優れている。

これらの最新のバイクは高剛性で地面をけるダイレクト感も強い。

DOGMAの真価は、乗り心地にある。
トライアスロンでは、バイクの後にランが控えている。バイクパートで足を使い切ってしまうと、ランに影響が出る。
DOGMAは微振動の吸収性が高く、長時間乗っても足が疲弊しにくい。
この“足を残す”という観点が、DOGMAを選ぶ最大の理由だった。

おわりに:スペックでは語れない“乗る理由”

DOGMAは、スペック表だけでは語りきれないバイクだ。

重量は決して最軽量ではない。

空力もCanyonのエアロードやTrekのMadoneのほうが優れていよう。

そして唯一無二のイタリアンデザインの造形美。


しかし、数字ではなく、乗ったときの感覚、走り終えたときの身体の状態、そして次の日にまた乗りたくなるかどうか。
そうした“乗る理由”が詰まっているからこそ、DOGMAを選んだ。
これからも、この一台とともに、走り続けていきたい。