金管楽器マウスピースの考え方|沼にはまらないために大事なこと
マウスピースの沼
ホルントランペットなど金管楽器を吹いている皆さん、マウスピースは何個持っていますか?
経験年数にもよるかと思いますが、経験年数が10年を超えてくる長い人だと3~5本くらいはあるかもしれません。楽器に最初からついてくるものを含めるともう少し多いかもしれません。
2~3年目以上の人で1本の人はちょっともったいないかもしれません。
だからと言って、ちょっと不調や違和感があるとすぐにマウスピースのせいにして新しいものを探しに行く。これをマウスピース沼といいます。
この沼にはまるのは男性が多い気がしますがマウスピース探しの時に意識したほうがいいかなと思うことを書いていきたいと思います
マウスピースのコレクションが趣味ならそれで構わないのですけど、マウスピースも1本1万~2万する代物です。10本も買えば20万近くなり、なかなかの痛い出費ですのでそうならないことがベストでしょう
そもそもマウスピースは何か
楽器と体が接するのはどこでしょうか。金管楽器の場合は二か所、唇と手です。大型楽器になると、肩や膝で支えてきますので三か所の人もいるでしょう
とはいえ、当たり前かもしれませんが、マウスピースは音を作る唇に触れる唯一の部分です。そのため、重要なパーツになります。ですが、音を作るのはあくまで「奏者の体」ということを忘れてはいけません。
マウスピースそのもの自体は補助的な役割になると私は考えています。
マウスピースで何が変わるか
ロードバイクやランをやってきて感じたことがあります。フィッティングの重要性です。
ロードバイク競技であれば、体の大きさや可動域に応じたフレームサイズやサドルの高さ、ハンドルの距離を設定することで、パフォーマンスの向上を目指します。しっかりフィットすることで10%~20%のパワー向上は見込めます(ロードバイクの場合、そもそも走らせられないこともありますね)
ランであれば、当然シューズのサイズは合わせると思います。自分の足の大きさにフィットしたサイズを探すはずです。見た目を気にして小さすぎるサイズ、大きすぎるサイズを選ぶと、競技として行う場合は即どこかを痛める=ケガをします。
金管楽器でも当然それがあります。ただ、楽器の場合は吹けてしまうので、見過ごされがちです。
楽器そのものは音程と音色のほうが重要ですのでそうそう形やサイズは変えられません。
だからマウスピースでフィッティングをさせるのです
マウスピースを変える感覚
こちらも競技の話です。
ロードバイクの場合、サドル高やハンドルの長さは5mm、ハンドルの距離や幅は10mm単位で調整します。これだけ変えると全くの別物です。
自宅でお持ちの自転車でも体感できるかと思います。サドルを指の幅一本分上げてみて走ってください。そのあとで、サドルをそこから指の幅2本分下げてみてください。
次にハンドルの持つ位置をいつもより指2本分外側を持ってみてください。
よほどゆっくり漕がない限り、感覚の違いが判ると思います。
いつもお履きの靴より2サイズ、10mm大きい靴を履くことを想像してみてください。
歩きづらさは感じると思います。小さくすることはおそらくケガをしますのでおやめください。
マウスピースの種類を同じにして、サイズを一つ変化させることはこの差分に該当すると思います。
競技をやってわかったことですが、マウスピースのサイズ一つ、内径が1mm程度しか変わりませんが、この変化と同等でした。つまり、ぴったりのサイズを選んでるのと変わらないのです
マウスピースを変化させることの危うさ
前章で、マウスピースのサイズが変わることの大きさについて考えました、
競技の場合、フィッティングを決めた後ここまで大きく変化させることは「まずありません」。
ここまでの見直しは、けがをした後。初心者の頃から数年間乗って筋力が変わった。そもそも構成するが変わった。このような大きな変化があった時のみです。競技で調整する幅は1mm-2mmです。
沼にはまりやすい人は、この曲はこのマウスピースで、、とか、今日は調子が悪いから、こっちのサイズで。。などとケースバイケースでマウスピースを変えている人です。競技ではやらないような大きな変化を金管楽器奏者はいとも簡単にやってしまいます。
(※たいていの場合、マウスピースを変えるときは同じモデルではなくモデルも異なります)
どのマウスピースがフィットするか
どのようなマウスピースがどのような傾向にあるのか。
例えば、口径が狭いものは高音が吹きやすく、スロート径(マウスピース上から見たときの穴の大きさ)が大きいと抵抗が少ないなどに関してはほかにプロの奏者が書いているので、当記事執筆時はそちらに譲ります。
ここではマウスピース選びでは気にされない「長さ」について触れていきたいと思います
マウスピースをつけ、構えたときの姿勢について考える
楽器はかなり高価です。一度決めたらそうそう買い換えられません。
そのため、構えたとき、不自然な姿勢になってしまっても、楽器そのもの自体ではなかなか矯正はできません。楽器ごとに構え方が変わってくることについては、いくつかのホルンを試奏できる機会に恵まれたら、プロの先生とお話ししたいところです。(※そもそもそのような楽器は試奏のタイミングで選ぶべきではない)。
そこでマウスピースの長さで調整します。
息の通りを妨げないよい姿勢(※この良い姿勢も一般的に言われている良い姿勢とはことなる。後日執筆する)で構えたとき、楽器を支えやすい距離、角度にできるものを選ぶほうがよいでしょう。
意外にもマウスピースの長さはモデルごとに異なるものです。1mmでも随分変わると思います
いい音という基準で選べば、たいていの場合良い姿勢がとりやすいものが選ばれるはずなのですが、沼にはまりやすい人はそうでもないので、意識してみてください
一度決めたら簡単には変えない
競技の話です。
フィッティングには何時間も費やします。3時間程度かかる場合もあります。それだけかけて一度フィッティングしも、直後は少しの間違和感が残ります。競技レベルにもよりますが、合計で400㎞~500km走るまでに違和感が消えなければもう一度フィッティングを見直しますが、たいていの場合、200㎞くらいでやっと違和感が消えてきます。ロングライド2回分くらいですね。
マウスピースも同様です。購入の翌日違和感があった。次の合奏で思うようにいかなかった。それだけで買いなおしに行ってはいけません。
まず、試奏でじっくり時間をかけてお店にあるほぼすべてのモデルから選んでいくべきです(私が考える試奏する順番は後日執筆予定)。一日で足りない場合は次の機会に持ち越すべきです。モデルに関して言えば楽器屋さんにいる方は音大出身のセミプロレベルの方なので、悩みをいえば適したモデルを選んでくれますけど。
さいごに
競技の経験から、マウスピースの沼にはまらないために必要だと思う考え方について書いてみました。
最も大事なことは
じっくり選ぶ。すぐに変えない
ということです。ロードバイク競技やマラソン競技では絶対にやらないようなことをやってしまっている。そのように考えるとしっくりると思います